移籍市場を振り返る 【クマノミのつぶやき】

クマノミです。

今回はチェルシー冬の移籍市場通信簿と題して、異例のビックウィンターを振り返っていこうと思います。

 

加入

スロニナ(ローン終了)

18歳の若きGKはローンを終了しチェルシーに帰ってきました。メンディが怪我で欠場が続いていますがケパが好調をキープしベンチにはベティネッリがいることから出場機会は限られるでしょう。身長193㎝と恵まれた体格を持つ将来が楽しみな逸材です。しっかりと経験を積んでいってほしいところ。

 

ジョアンフェリックス(ローン 11m€)

アトレチコマドリーで燻っていた天才プレイヤーをローンで獲得しました。表向きには買取オプションの不随はなく、詳細な情報が出回るまでは否定的な意見も多くありました。またMマウントやハヴァーツと役割やキャラクターが似ているとの評価も多々あり大丈夫か?という評価が初めでした。デビュー戦ではフラムを相手にハーフスペースでうまくボールを引き出しながらスモールスペースでも違いを発揮でき高いパフォーマンスを見せつけました。しかし若さからの不用意なタックルで一発レッドを食らい出場停止となっています。それでも高いクオリティを見せつけているため今後の活躍次第では買取も視野に入れるべきと思っています。

 

デイビットダトロ(完全移籍 12m€)

昨季、ノルウェーリーグで24試合に出場し15G5Aという成績を残していたコートジボワールの20歳ストライカーを完全移籍にて獲得しました。こちらはどちらかというと将来への先行投資、そしてブロヤの長期離脱も関係しているのではないかと思っています。20歳ながらゴールとアシストを量産していることからポテンシャルは計り知れません。第21節のフラム戦では75分からの出番で早速PLデビュー。決定機を決めきることはできなかったもののPLレベルのDFとも十分に戦えるフィジカルやネガティブトランジションの速さ、ゴール前での落ち着きなど良さをアピールしました。まだ20歳ということもありローン移籍の噂もありますが、CFが不足するチェルシーにおいて貴重な人材ですからスカッドに組み込んでもよいと思っています。

 

アンドレサントス(完全移籍 12.50m€)

ブラジルはヴァスコダガマから18歳のミットフィルダーを獲得しました。彼は18歳ながらU20 ブラジル代表として活躍しています。現在行われているU20南米選手権ではMFというポジションながら5試合で5Gを挙げるなどこの世代では収まりきらない才能を持っていると言えるでしょう。攻守において貢献することができる運動量や判断の良さが非常に高く評価されている選手です。18歳という年齢を考えても将来を見越した投資という側面も強いでしょうがU20南米選手権での活躍を見るとMFの人員不足ということも含めてトップチームでのデビューを期待してしまいます。怪我がちなコバチッチとカンテの穴を埋める以上の活躍や世代交代を期待できる逸材ではないでしょうか。

 

グスト(今季終了までリヨンへローン 来夏合流 30m€)

リヨンで躍動する19歳のU21フランス代表SBを獲得しました。今季、リーグアンでは19歳ながらすでに17試合に出場するなど着実に経験を積んでいます。課題となっていたRSBの層については彼とリースがレベルの高いポジション争いを繰り広げることが予想されます。優れたボールさばきとキックの質を持っているため攻撃参加に定評があります。また体格もよく対人守備の強さもあるという評価です。リースジェームズは強大なライバルになるでしょうが彼を超えられるだけのポテンシャルを秘めていると評価する人もいるため非常に期待をしています。

 

マドゥニケ(完全移籍 35m€)

PSVにて頭角を現していたイングランド人WGを獲得しました。彼はスパーズユース出身の20歳です。U21イングランド代表を経験しています。昨季はエールディビジに19歳ながら18試合3G3Aを残している有望株です。LWGとして縦へもカットインも得意としておりスピードとテクニックを兼ね備えています。ゴール前でのアイデアや選択肢も豊富に持っており非常に楽しみな新戦力です。早速21節のフラム戦では後半開始とともにデビューを果たすと独特のリズムの仕掛けと高いキープ力で攻撃を活性化させました。スぺ体質気味なのは気になりますが7年半という長期契約からもフロントは彼を高く買っているのでしょう。今までチェルシーに足りなかった圧倒的な個の力を加えてくれることを期待します。

 

バディアシル(完全移籍 38m€)

モナコからは21歳のフランス人CBを獲得しました。チェルシーとしては初めてといってもいい左利きの左CB。足元の技術に絶対的な自信を持っている彼は相手のプレスに対してストレスを感じることはなくMFが受けたいタイミングでくさびを入れることができる現代サッカーに必要な能力を持ったCBでしょう。中長距離のフィードの質も悪くありません。その自信からかたまにポカをしてしまうこともモナコ時代にはありますがCBは経験が大切ですし年齢やポテンシャルを考慮すれば年数回のポカは安いものでしょう。冬加入から早くも3試合をこなしていますが大当たり。ビルドアップで捨て玉になることはまずなく前に出る守備もうまい選手です。守備対応に関しても常に冷静沈着で21歳とは思えないクオリティですし彼を38m€でとれたのはお買い得だったといってもいいかもしれません。実際彼がデビューしてからは3試合負けなし、クリーンシートが続いています。即戦力かつ将来性もある素晴らしい補強だったと思います。

 

ムドリク(完全移籍 70m€)

ウクライナシャフタールから21歳の高速WGを獲得しました。アーセナルの移籍が多分に噂されていた中、半ば強奪のような形でチェルシーが獲得。100億円声のビックディールが成立しました。念願のウィンガーです。CLでは最高時速を記録しデビュー戦でも今季最も早い選手になるなどポテンシャルは絶大です。相手をスピードで置いてきぼりにできるだけではなくゴール前での落ち着きや選択肢の豊富さ、そしてキープ力も高いため攻撃の問題を解決してくれるでしょう。シャフタールでは今季12試合で7G6Aの大暴れ。デビューはリヴァプール戦で済ませていますがフルフィットネスにはもう少し時間がかかるでしょう。マドゥニケの時にも記載しましたが今まで足りなかった圧倒的な個の力を持っている選手なので大爆発を期待したいですね。

 

エンソフェルナンデス(完全移籍 121m€)

デッドラインデー。今季世界最大のビックディールが成立しました。アルゼンチン代表としてW杯を制覇し最優秀若手選手賞を受賞したMFを121m€という歴代でも屈指の金額で獲得しました。チーム状況からしても中盤の世代交代が課題となっていたチェルシーにとっては喉から手が出るほど欲しかった人材であります。しかしその金額をはたいてまで必要だったのかは疑問が残ります。私自身もそこまでの金額なら別の案もあるだろうと考えていましたので正直びっくりしてはいますが。ただ選手としての力は格別であり素晴らしい才能を持っています。22歳にして攻守のバランスを取りながらビルドアップでリズムを作り特に中距離のロブパスや常に味方の裏抜けの動きを見ておりチャンスメイクも上手な選手です。W杯では得点も挙げるなど得点力も兼ね備えており大注目株です。21節のフラム戦ではデビューながらフルタイムを戦い得意のロブパスのうまさでチャンスメイクをすれば多くのスタッツでチーム内トップを記録するなど早速存在感を発揮しています。のちに記載しますがジョルジーニョの退団もあったため彼には穴埋め以上の活躍を期待したいですね。

 

退団

ジョルジーニョ(完全移籍 11.30m€)

チームキャプテンを務めるなど長きにわたってチェルシーのリーダーとして君臨しCLやクラブワールドカップ制覇にも貢献してきたイタリア代表MFのジョルジーニョアーセナルへと新天地を求めました。まず状況から整理すると彼の移籍は容認してよかったと思われます。31歳という年齢、来夏までの契約のためこのタイミングでないとフリーで退団する可能性が大きかった。主にこの二つが移籍を成立させた大きな要因であると考えています。個人的にはこの移籍には反対でした。その理由は後述します。ただ移籍金を残し去って行ってくれたのは彼のチェルシーに対するリスペクトに感じます。彼の成功を祈るばかりです。アーセナルでは自身初めてのPL王者のチャンスがあるクラブだと思います。彼がPLトロフィーを赤いユニフォームで掲げていたら複雑な気持ちになるでしょうね。

 

通信簿

加入組 120点

まず加入組に関してですが100点以上でしょう。フロントはこれ以上ない補強でチームの強化をしました。自チームのサポーターでもびっくりするレベルのビックウィンターでした。

まず獲得した選手たちは全員が23歳以下。将来性を見越し中長期的な視点からの補強であると思われるのでチームの計画にあったものといえるでしょう。それでいながらエンソやバディアシルはすでにチームの核になるであろう活躍を見せています。これもデータに基づく補強戦略をしているからこそでしょう。今と未来、ともに満たしてくれるような補強であったと思っています。ここまで用意周到に準備をしているためFFPに関してもしっかりと対策を練っていることでしょう。けが人も戻って、新戦力もなじんでいけば後半戦の巻き返しも十分に狙えそうな陣容になりつつありますが過度な期待は禁物だと個人的には思っています。

まずは新戦力が若いということです。すでに能力は非常に高いものがありますが全盛期はまだ先にあり尚且つPLの強度は世界一です。適応には時間がかかりますし何より戦術的な浸透の時間をポッターにさえ与え切れてはいません。結果ではなく内容を重視してみていくことが大切かなと思っています。

いずれにせよチームの下地はそろったといってもいいでしょう。選手個人、そしてチームとしての成長を楽しんでいきましょう。

 

退団組 10点

退団組といってもここではジョルジーニョの話になります。彼の退団に関しては未だに反対です。いくつか理由はありますが大きく分けると、彼のプレースタイルを考えても年齢による衰えは感じにくい点、彼の加入から約5年ビルドアップはジョルジ依存であった点、ピッチ内外での影響力という点、ベテランの重要性という点です。特徴ははっきりしている選手でしたし守備強度といっても立ち位置が良いためチャンスの芽を摘んでいるシーンも少なくなかったのです。ビルドアップに関しては完全に彼依存でした。味方に事細かく指示しながら自分が触らなくとも貢献しパスコースを作るのもうまい精密機械のような選手でした。彼が抜けると途端にビルドアップがきつくなる試合は少なくありませんでした。またベテランとしてチームを引っ張りムードメーカーとしても慕われる彼こそ今後の若手が多くなるチームに必要なピースになると思っていました。私はむしろ彼とは契約延長をしてもよいと思っていたのでびっくりしています。勿論契約年数や週給の問題はあったと思いますがこのタイミングで彼を出すのはもったいないと思ってしまったのです。中盤の新戦力と彼を組み合わせながら徐々に彼抜きでも前進していけるようなチームを構築するのが理想かと考えていました。

ただ遅かれ早かれ彼抜きでどうビルドアップを構築していくかは課題になっていたと思います。それが早まってしまったと今は思っています。エンソはジョルジとはタイプは違えど素晴らしい才能を持った選手ですしもう少しでカンテも戻ってきます。ジョルジとプレーしていたギャラガーも以前よりはビルドアップも上達してきたように感じます。ポッターはブライトンでもビルドアップを構築した実績もありますから時間をかけてどうジョルジロスを脱していくか見ものですね。

 

 

2022年2月5日執筆

 

クマノミ